一人の人間が目覚めた。
いや、人間の容姿を持ったもの、そういったほうが正しいのかもしれない。
本人は人間なんてものは知らないのだろう。
しる必要もないのかもしれない。
それは、少女だった。


ポタン、ポタン。
繰り返される不思議な音にふと気がついた。何かの液体がたれるような音。さっきまではそんなもの聞こ
えなかったのに、急に。ううん、ちょっとずつ大きくなったのかも。
わすれちゃった。まぁ、いっか。
ポタン、ポタン。
そのリズムが体にあうのか、それともその音が体にあうのか気分がいい。
気がつくと体を小さくたたんでうずくまるようになっていた。体育座りをしたまま横に倒れたように。
今まで寝ていたのか、体中が固まったようになって、痛い。体をほぐそうとあちこち動かすとその部分が
少しむずかゆくなる。むずかゆいのにちょっとだけ気持ちがいい気もして、もっと動かしたくなった。
寝たまま伸びをすると、体を起こすことにした。おなかに力がはいるのかそこがくすぐったい。
せっかく立ちかけたのに体中がくすぐったくて力が抜けて倒れた。今度は仰向け。
すると、ポタン、ポタンという音が消えた。
そのかわりに、おなかになにかがたれてくる。生暖かい、ぬめっとするなにか。どうやら、この真上にさ
っきの音の出所があるみたいだ。
上を見上げるけど、薄暗くてよくわからない。
全部、色が抜けたようになってみえて、灰色の影のようなものにしか見えない。その他の部分は全部黒ば
っかり。
近くでみれば見えるようになるかな?
くすぐったいのを我慢して立ち上がる。こんどは特に脚がくすぐったい。脚に力が入ってるかな?
ポタン、ポタンと音が始まる。
服の、なにかがたれてきたいた部分がきもちわるく体に張り付く。
立ち上がって影のほうをみると、それと目があった。
生気がなく、ただひたすらにおびえたような目がこっちを向いていた。上下反対の顔。上に首がついてい
て、そこから反対に体が…。天井に立っているみたいに。髪の毛が逆立ち、そこからなにかが垂れている。
さっきの液体だ。
気持ちわるい。
ずっと見つめていた。不思議とそれを見ていると楽しくなってくるから。
最初はきもちわるいと思ったけど、よくみるとどこがかはわからないけど、おもしろかった。
見ているうちに思った。触ってみよう。

あ゛ぁぁぁ!
それは、手が触れそうになった途端にほえながら腕を伸ばしてきた。
「きゃぁあ!!」
急な声と、それの行動に驚き、叫んでしまう。
体や顔をかばおうと出した腕は捕まれ、ぐいぐいと引っ張ってくる。どんなに力を入れて踏ん張っても少
しずつ体はそいつの方に引きづられて行く。
いやだ!つまれた腕を振り解こうと、つかまれながらも必死に抵抗するけど放してくれる様子はない。
もう、こうなったら。
それの腕に思いっきり噛み付いた。
すると、自分で思ってたのとまったく違う感触がした。噛み千切ってしまうほどやわらかかったのだった。
噛み千切った途端にそれは腕を急に離したから、踏ん張っていた体はしりもちをうってしまった。
痛い。
口の中に不思議な味が広がる。苦いような、しょっぱいような、腐ったような、少なくてもおいしいとは
思えない味。
ぺっ、と口の中のものを吐き出しても、味はなくならない。気持ちがわるくなる。
ギギィ。と紐がなにかとこすれるような音がして、それはブランコのように揺れている。もう動く様子は
なくなり、ただ何をすることもなくゆれていた。
こ、怖かった…。
それは、さっきのように楽しいものには見えなくなってしまった。
見ているだけで、怖くなってくる。腕をつかまれた感触を思い出すと、口の中の味を考えると、あの姿を
よく思い出してみると、吐き気がする。
不思議と怒りが湧いてきた。憎らしい。
こんな怖くて面白くないものなんていらないよ。どうしてあるの?なくなっちゃえばいいんだ。なくなっ
ちゃえ。こんなものなくなっちゃえ。なくなっちゃえ。なくなっちゃえ。なくなっちゃえ、…。

ぐちゃ!

不思議と心地のいい音と共に、そこにあった影は消えた。
うれしかった。
なにかべちゃべちゃしたものとか、硬い塊とか、あの変な液体とかは飛んできて気持ち悪いけど、それで
も、もうさっきのが動くことはない。
安心してここにいられる。

辺りは、それが消えたときの破片とかがいっぱいで変な臭いまでする。
どこか違うところに行くことにした。なにかあるかもしれない、そうゆう期待も込めて。
はだしが床に当たる度に、さっきの液体のポタン、ポタンっていう音のかわりにぺた、ぺたっていう音に
なった。
ぺた、ぺた。
ぺた、ぺた。
ズルッ。
急になにかやわらかいような、細長いものを踏んでこけてしまった。
もう、なんなの?
地面にぶつけた膝をさすりながら、振返って踏んだものを確認する。
腕…。さっきのやつに捕まれた感触を思い出して寒気が走る。腕の先を見ていくとさっきのやつみたいに
体があって、首があって、顔がある。その顔にはまた生気のない目。さっきのやつと違って寝ているだけ
だから、髪の毛は逆立ったりしてないし、変な液体もたれたりしない。
その目を見つめていた。どこを向いているのかよくわからない目。どこも向いていないのかもしれない。
いつまで経っても動く様子はないそれ。それでも、さっきのやつの時のことを思い出すから少し近づいて
みたいと思っても手を出せない。もしかしたら、手を出した途端にさっきのやつみたい急に動きだすかも
しれない。
仕方がないから、やっぱり目を見つめていた。
少しだけ、近づいてみよう。動き出してもすぐに逃げられるくらいだけならきっと大丈夫だ。
四つ這いになって顔だけをそいつの方に近づける。これなら腕を急に動かしてきても顔以外届かないだろ
うし、顔だけならすぐに逃げられる。
ゆっくりと近づけていく。近づくと、どんどんとどこを向いているのかわからない目が気になってしまい
そっちの方をみてしまう。
ある程度近づくと、そいつは急に体の一部を動かした。
目が、目がこっちを向いた!

う、動くんだこいつも!さっきのやつと一緒だ!
こわいこわいこわいこわいこわい…。
なくなっちゃえばいいんだ。さっきみたいに、さっきみたいにグチャってなっちゃえ!

グチャ!

心の中で思ってから一テンポおいてから、また心地のよい音がした。だけど、それと一緒にいろいろ気持
ち悪いのが飛んできた。
今度は近かったから顔にまでかかった。こんな気持ちの悪い思いをしないと、ぐちゃってできないのかな?
いやな気分になりながら、濡れた顔を服で拭いたけど、そっちにも血がついてあんまり意味がなかった。
しょうがないから諦めた。
あれ、いっぱいあるのかな?いっぱい居たらどうしよう…。こわいよ。
そうだ、みんなぐちゃってしちゃえばいいや。

変なにおいがしたけど、我慢してまた、歩き出した。
さっきのやつにまた遭うのは厭だけど、他になにか楽しいものがあるかもしれない。
なくても、ずっとぐちゃってした後のやつの近くにいるのは厭だったから。
ぺた、ぺた、ぺた。
ぺた、ぺた、ぺた。
足の裏が冷たくて気持ちいい。自分で作り出せる一定のリズム。
ぺた、ぺた、ぺた。
ぺた、ぺた、ぺた。
ぺた…、ぺた…、ぺた…。
ふと、自分じゃないリズムが聞こえた気がした。
ん?私の足音以外になにかある…?
一度止まってみる。
ぺた…、ぺた…、ぺた…。
それは私のと同じようなおと。裸足であるいてるのかな?
自分の足音よりも遅いリズム。
ぺた…、ぺた…、ぺた…。
どんどんと近づいてくるのがわかるけど、薄暗くてなんだか見えない。良く目を凝らす。
下の方でなにかが動いてるだけがわかった。
ぺた…、ぺた…、ぺた…。
何とか影だけが見えるけど、なんなのかはまだわからない。もっと近づいてくれればみえるのに。
勝手に近づいてくるからそれに任せてその場で止まってることにした。
ずっと止まってると、地面の冷たさは気持ちいいものじゃなくて、体中を寒くさせるようなものになった。
裸足と床の音を聴いて待つことにした。
ぺた…、ぺた…、ぺた…、ぺた…、ぺた、ぺた、ぺた、ぺた、ぺたぺたぺたぺた…。
どんどんと早くなってきてる?!
ぺたぺたぺた。
ようやくなんのかがわかるところまで来た。
さっきの仲間だった。
這いつくばるようにして、足は使わず、手だけを使ってでこっちに向かってくる。手が動くスピードと、
それが変な方向を向いているところがすごく違和感がある。長い髪が顔を隠しているけど、その下の目が
こっちを睨んでいるのは分かった。
ぺたぺたぺた。
まっすぐこっちに向かってくる。すごい勢いで。
どうしよ、どうしよ。
怖いよ…。
そうだ、あいつもぐちゃってなっちゃえばいいんだ。
ぐちゃって、なっちゃえ!

グチャ!

動く影は無くなった。
静かになった。
音はなにもしなくなった。

もう歩きたくない。
あんなやつらに会いたくない。
薄暗い場所。なぜだか知らないけど、最初よりも遠くまでは見える気がする。それでもやっぱり、見える
ところは限られて、遠くはまったく見えない。そのわずかな見える範囲には、なにもない。だからやっぱ
りなにも見えない。唯一見えるものと言ったら自分の真下に広がる冷たい床だけ。
ここになにかないかな?
見えないなにかがありそうで、目の前に手を伸ばし軽くつかんでみる。
なにも手には乗らなかった。
こんなところでなにすればいいんだろう?
どうしてこんなところにいるんだろう?
不思議とそんな気持ちになった。

ガラガラガラ。
急な大きな音に驚いた。いいや、それよりも急に飛び込んできた光に驚いた。
目が耐え切れない量の光が入ってきた所為で目が眩んでなにも見えなくなる。
「誰かいるのか!」
なにかが叫んでいるのが聞こえる。あまりに大きな音で耳がいたい。
目も痛いし、耳も痛いし。
コツ、コツ、コツ。
不思議な音が向こうから近づいてくる。リズムはさっきの裸足と地面の音と同じくらいのリズム。
なんだろう?面白いものかな?
ゆっくりと目がなれてきた。
遠くに大きな光の入ってくる四角いのがあって、その手前に黒いのがこっちに向かってくる。
あ、あれは…またあいつらの仲間だ!
「キャァァァァァア!!」
叫んだ。こっちに来ないで!
「なんだ、君は?どうしてこんなところにいるんだ?」
なんかわけのわからないことを言いながらこっちに来る。
やだ、やだ。来ないで。こわいよ。
どんどんと近づいてくるあいつらの仲間。
もう、こうなったら、あいつもぐちゃってしてやる。
下ろしていた手をそいつの方に向けた。
グチャって、なっちゃえ。

ぐちゃ!

それは他のやつと違って一瞬だけ、変な叫びを上げた。変な顔もしたけど、すぐにぐちゃってなったか
らよくみえなかった。なんか、微妙に前のやつらと違う感じがした。仲間じゃなかったのかな?
でも、こっちにきたし怖かったから、まぁいいや。
これでもう安心ね。
よく見える明るいところでぐちゃってやったら、なんだかきれいに見えた。
辺りに紅い液体やなにかの塊が飛び散っている。それは気持ちのわるいものだと思ってたのに鮮やかな
いろで綺麗にも見える。
まるで、新しい世界に来たみたい。
さっきのが入ってきた場所の方をみてもあかるすぎてなにがあるのかわからない。
また、変な液体が体にかかったのを思いだして自分の体を見る。
あぁ〜あ。また濡れちゃった。
もともと白かったようなものを来ていたのにまっかにそまっていた。でも、その紅色は綺麗な色で、自
分の好きな色になってちょうどよかったのかもしれない。
服に染み込んだ紅い液体が、ポタン、ポタンと垂れる。
垂れた液体が足にかかった。気になって見てみた。
足…。この形どこかでみたことある…。
自分の手を前にだして見てみる。細長いこの形。
この形もどこかで…。
…そ、そうだ!

あ、あいつらの仲間だぁ!!!

「キャァァァァァァァァアアア!!!」


グチャ。







つまんねぇ〜。乙!w orz...
現在、九月三十日三時。書き上げ。
こんな状況なので、手直しはここまでしかできない。ってか、手直しどんなにがんばっても僕の実力じゃ
このくらいが限度。
僕がかるくみてみた小説だと、縦(ここだと横)41文字、横(ここだと縦)17行、だったので、きっと
これでも20ページくらいはあるとおもう。
短編なら十分かな?って自己満足w
これを、明日渡すことにします。誹謗中傷、気にしなぁ〜い♪
気楽に行かなきゃ、こんなの書いてられないさw
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