( ゚∀゚)o彡゚みすちー! ( ゚∀゚)o彡゚みすちー!




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 「はぁ・・・。」白い息が口からこぼれる。 読んでいた本にしおりを挟み、わざと音がたつように本を閉じた。
「そろそろ帰るか・・・。」僕は立ち上がって歩き出す。
冬は嫌いだ。暗くなるのが早いから本を読んでいられる時間が短すぎる。
家ならいくらでも読めるけどなぜか閉じ込められてるような気分に襲われるからあんまり居たくない。 と言うわけでいつもここにきている。 ここは…、文で表現するのは苦手なんだ。見たままのことを書くと。 普通森って木が生い茂ってるよ。だけどここはその木の代わりに背の低い草。 それが小さな円形状に広がり、中央部に一本だけ立派な広葉樹が立っている。 そんなところかな。 まぁ、いつもその木に寄りかかり本を読んだり、考え事をしている。 僕がまだ小さい頃に見つけ、それ以来ほぼ毎日来ていた。 おかげで自分にしか分からない道ができた。 誰にも教えていないから、秘密の隠れ場としても役立ってくれた。
え?なんで隠れたか?そ、それは聞かないでくれ。
 友達は居ないに等しい。 みんないい奴ばかりで、いじめとかいう厄介事起きてないし、良く話かけてもくれる。 しかし、残念ながらこの辺の子供は読書の楽しさを知らない奴ばかりで、 話が合う人がいない。 だから放課後はこうしてここまできて本を読むのが一番楽しいことになっている。
 日の傾き加減的に大体四時頃だろう。 森を抜けるのにはけっこう時間がかかる。 だが、まぁ別に急がなかった。 森の中は暗かったがそれはいつものことだ。 バックの中から懐中電灯を取り出す。 親からもらったものだ。相当いいものなのか、何年も使い続けても全然役立ってくれる。
もちろん少し怖い。それは人間の本能だから仕方ないだろう。 しかし、ある程度はこの恐怖に慣れることはできた。
中程にまで来る前に日は完全に落ちたようで懐中電灯の光以外頼れるものが無くなった。 月だけでなく、星までも出てない。曇りなのだろう。
それでもなお、急ぐことなく家への道をゆっくり歩いて帰った。
 家に着いたのは大体五時頃だった。 親は仕事で忙しくめったに家に帰って来ない・・・。 だが、そのおかげで本が買える。感謝はしている。 家に帰っても特にすることがなかった。 読書を除いて。
家に着くとすぐに風呂に入った。 風呂はいい考え場所だ、あらゆることがすぐに思いつく。整理もできる。 今日は本について整理していた。 たまに頭の中で整理しないと物語が混じって大変なことになる。 ついでに物語を自分の中で改編して、っと。
飯は適当に作って食う。 今日はカップ焼きそば。ラーメンよりこっちのがいい。 いつもこんなに手抜きな訳じゃないさ。ちゃんと作るよ? 作るものはご想像にお任せします。どんなものでも食える。とだけ言っておきましょう。
麺を食べながら読みかけの本を持ってくる。 無駄な時間は作らないに限る。 箸を片手に持ちっぱなしだったから紐で出来たしおりを使って無理やり本を開ける。 読みかけていた行をさがしつつ…

 また、今日と同じ様な明日なんだろうか・・・。


 数週間後・・・。
 いつも通り帰り道を歩いていた。 日はさらに短くなり、寒さも増した。
「八時はすぎたな・・・」 なぜか今日に限ってあの場所で寝てしまったのだ。 こんなことは今までで初めてのことだった。 起きたらすでに日は落ちて真っ暗だった。 さすがにここまで遅い時間に森を歩くのも初めてのことだ。 夜空に輝く満月の光が木々の隙間から地面を照らしている。 一応懐中電灯はつけていた。
「ところで、あの本何処まで読んだっけ・・・」 不意に思い出した。 一度気になると確認しないとどうしようもない…こうゆう性格わかるだろ?
読んでる途中で寝たから、まったくといっていいほど思い出せなかった。 僕はその場に座りこみ、自分のバックをあさった。
「あれぇ〜、何処行った??」 いくら探しても出てこない・・・。もしかして・・・。 回れ右して、もと来た道をもう一度歩き出した。
「はぁ〜ついてねぇ・・・」
バックはさっきの場所に置いてきた。 特に何も入ってないし、人なんて来ないだろう。
しばらく行くと急に風が出てきた。 冬の風は少し辛い。 度々なんだか分からない生き物の鳴き声が懐中電灯の光も届かない場所から聞こてくる。 たまにすぐ近くで聞こえ、その度に走って逃げた。 そりゃ、さすがに怖いもんは怖い・・・。
「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・。」 走りなれてないとさすがにきつい。 すぐに息が上がってしまう。 わき腹を抱えながら近くの木い寄りかかるように座った。 かなり進んだはずなのにまったく着くような感じがしない。 「やけに、時間が、かかるな・・・。こんなに、長かったか?この道・・・。」 すぐに呼吸は整ったがもう少し休むことにした。 あまりにも長すぎる・・・。 どこかで道を間違えたか? でもそんなわけはない…。 道は一本しかないし。 本は自分の中での宝、そんでもってあの本に限っては思い出が詰まってる…。 僕はまた立ち上がり、歩き出した。
どうせ自分を怒ってくれる人も今は家に居ない。早く帰る理由もない。
こんどはへんな鳴き声がしても走らないことにした。 どうせなにも起きないだろう…妖怪や宇宙人、幽霊なんかは居ない。はずだ…。 とどうにか自分を勇気ずけて。 しばらく行くと懐中電灯で照らしているはずの足元が少しづつ暗くなっていく。
月は…いまだでている…。 「こんなのって・・・。」 すぐに電池は切れてしまった。 不幸中の幸い、とでも言うのか月明かりは十分に道を照らしてくれた。 予備の電池は置いてきたバックの中だ…。 さすがにあれだけの距離をもどるわけには行かない・・・。 仕方なく進むことにした。

 しばらく行くとようやく目的地が見えてきた。 銀色の月光が地面を照らし、幻想的であり、どこか懐かしい気もした。 ようやく一時的ではあるが、この森から出られる・・・。 少し休憩してから帰るか。 そのとき、どこからか声が聞こえてきた・・・。 そうえば、さっきまで聞こえていた虫や動物の鳴き声が聞こえない。 それどころか木々のざわめきすら聞こえない。 辺りは完全に静まりかえっている。風も止んでいる…。 良く聞こえるように耳を澄ます…。…女子? とっさに幽霊か妖怪のようなものの姿が頭をよぎる。
「こんな夜中に誰だ・・・?」 もう少し近づいて行くとその声が歌っているのが分かった。
きれいな声だ・・・。
森を抜けると歌ははっきりと聞こえた。 なぜか軽く頭痛がする。 よく見るとちょうど僕が本を読んでいた辺りに少女が居た。 遠かったから良く見えなかったが、年は同じぐらいだろう。 ここら辺じゃ見ないかわった服装をしている。
ちょっと長めのスカートに、上部に小さな翼のようなのがついてる帽子をかぶっている。 さらにその少女には、翼が生えていた。 背は僕より小さい。肩より少し大きいくらい。
気味は悪かったが、幽霊や妖怪のような怖いものではなさそうだし、 歌うことが本当に好きなようだ。 だれも聞いてないのにとても楽しそうに歌っている。
僕が近づいていくと、向こうも気づいたのか歌うのを止めすぐに木の反対側に隠れてしまった。 その行動に軽く笑いそうになりながら木の場所までいき、辺りを見回した。本はない・・・。
「ねぇ、君?ここら辺に本落ちてなかった?」
答えてくれない・・・。
「別に悪い奴じゃないさ、ただここに本忘れて来ちゃったんだ。 大切なものなんだけど知らないかな?」
少女が木の裏から出てきてゆっくりこっちに来た。後ろになにかを持っている。
「これのこと?」
きゃしゃな細い手で僕の本を差し出した。
すごく透き通ったきれいな声だ・・・。
「うん、ありがとう。」
僕は両手でその本を受け取った。
「君はいつもここで歌っているの?」
「うん・・・」
「歌、上手だね。」
「聞いたの?」
「うん、・・・駄目だった?」
「そうゆうわけじゃないけど、なんともないの?」
「なにが?」
僕には何を言ってるのかさっぱり分からなかったが、 何かものすごく心配しているようだ。
「なんともないならいいの。でも、もうこんな遅くにここに来ちゃだめよ」
「え?あ・・・うん。」
まさか、急にそんなこと注意されるとは思わなかった。
「だめ、絶対にだめ・・・。私が歌ってる時は特にね・・・。」
やけに寂しそうに言う・・・。
「そんなに聞かれたくないの?すごく上手なのに・・・。」
「そういうわけじゃないの・・・。」
今にも泣き出しそうな声だった。 何か他人には触れられたくないことだったのだろう。 とりあえず、もうこの話をするのはやめることにした。
「今何時くらいか分かる?」僕は聞いた。
人間の時間だと…
「えっ?」
「だ、大体十時半くらいよ」
「あ、そっか。ありがとう。じゃあ、そろそろ帰るね?」
「・・・うん。さようなら・・・。」
やっぱり寂しそうだった・・・。
「じゃあね・・・」
さすがに十時半はやばい。急いで走った。 森の中に入ると、また彼女の歌声が聞こえてきた。 歌詞は分からなかったが、とても悲しそうな歌だった・・・。 ずっと聞いていたかったがそうは行かない。 一応、学校遅刻するといろいろと面倒臭いことが多い。


 あの後、家に着くと十一時を回っていた。 疲れが酷くて、布団に行き着く前に寝てしまったらしく、 起きたときには部屋のドアの前にくたばっていた・・・。

まったく・・・体育なんて教科は要らないぜ・・・。 どこが楽しいのかわかんない。 みんな楽しそうにやっているが、疲れるだけじゃないか!
それにしても寒い。体育座りが一番熱が逃げないはず…。 僕だけ校庭のはじっこでみんながサッカーをしているのをなんとなく見ていた。
「あぁーーー。駄目だーーー。」
大の字に寝転ぶ。 本は持ってきたのだが読む気になれない。 昨日のことがずっと頭の中をぐるぐる回っている。 おかげで二時間目の理科なんかは得意科目にもかかわらずプリントを白紙で提出。 三時間目の数学なんかはノートが白紙だった。
そんな状態でさらに本すら読んでない僕をみんな心配してくれたようで 声をかけに来てくれた。 調子が悪い。と先生に冗談でいったつもりが本当だとおもったらしく 今日の体育の授業は見学が許された。
とにかくもう一度彼女の歌を聴きたかった。 なぜか彼女の姿、声・・・あの時の光景が今さっき起こったことのように思い出せる。 またあの場所に行けばあえるかな・・・。
「・・・おい、大丈夫か?」
「あや?」
口癖で不意に誰かに声をかけられるとつい言ってしまうのだ。
「もう授業終わったぞ」
先生だった。
「どうした?顔色が悪いぞ?」
「そ、そうですか?」
「あぁ。ちょっと保健室行ってこい」
「は、はい。」
僕だけみんなが歩いてく方向から一人違う方向に歩いていった。

 「37度8分っと、熱あるね。」
「そうですかぁ・・・」
保健室に入るとすぐに保健の先生に体温計を渡されベッドに座らせられた。 先生はかなり若くて綺麗だから一部の男子に人気があるとか、なんとか・・・。 体力は無い癖に病気や怪我はほとんどしたことがないため、 保健室に世話になるのはこれが初めてだった。 だから先生とも何回か廊下ですれ違ったとき見たぐらいで僕は初対面に近い。
着てる白衣は軽くピンクがかった色だった。 肌が綺麗で指が長くピアノが上手そうな感じだ。
「家に帰ったほうが良いかもね。とりあえず、ここで安静にしててね。」
僕が返事をする前に部屋から出て行ってしまった。
とりあえずベットに横になった。そうえば軽くだるい気がする・・・。
あぁ、また聞きたいなぁ・・・。あの歌声・・・。 どうして聞かれたくないんだろ・・・。
ガチャ。ドアが開いて先生が入ってきた。 何か重そうなものを持っている・・・って僕のカバンだ。
「わざわざすみません。」
「別に大丈夫よ。」
大丈夫なようには見えないが・・・。
「それよりうちにお母さんもお父さんも居ないみたいね。どうする?」
「あぁ、大丈夫です。鍵はありますから。」
先生はちょっと困ったような顔をした。
「いや、そうじゃなくてね、どうやって家にかえるかってこと。」
「あぁ・・・、じゃあ歩きます。」
「それはダメ。誰か迎えに来てくれる人が居ないなら送ってくけど?」
「え?あぁ・・・じゃあお願いします。」
「わかったわ、ええと、正面玄関で待ってて。」
また、返事をする前に行ってしまった。行動だけは早いみたいだ・・・。
立ち上がると立ちくらみがきて、また座り込んでしまった。 目が回るような感覚が直ってからもう一度立ち上がった。 やっぱり、体がだるい・・・。それに寒い・・・。 熱があるとわかった途端にこの様だ。気持ちというものは怖い…。 急に熱が上がったってこともあるかも知れないが。
ドアの目の前においてあったカバンを拾い保健室からでた。
「さみぃ・・・。」 外はさらに寒かった。一応部屋の中は暖房がついてたらしい。
うれしいことにこの学校は保健室からでたら目の前に正面玄関がある。 だが、ほんの少しの距離でも体を動かすのがつらい・・・。 なんとか重いカバンを抱え下駄箱まで到着し、靴を履き変えた。 その時ちょうど先生の車が来た。  車に乗り込むとすぐに発進した。 以外に運転が荒い。
酔ってきた・・・。 運転中、会話は一切無かった。 話しかけてくれても僕はそれどころじゃなく、 吐き気とだるさとの格闘に必死だった。 こんな戦いがずっと続くのかと思い始めたころようやく車が止まった。 僕はすぐに扉を開けると外に倒れこんだ。
「大丈夫かー?」
「い、いえ。全然・・・。」
なにかがのどまで戻ってきた。
何とか飲み込んだが、のどがなんか変な感覚になった。
「ここであってる?」
先生はいつの間にかすぐそばに居て、聞きながら僕を起こしてくれた。
「はい・・・。ありがとうございます・・・。」
ちいさな声だったから聞こえた分からなかったが、 とりあえず僕の部屋まで僕とカバンを運んでくれた。
「安静にするように。わかった?ただの風邪だと思うからすぐなおるわ。」
「はい・・・。」
「じゃあ、元気になったらまた学校にくるのよ?」
「はい。今日はどうもあり・・・」
また、聞かずに行ってしまった・・・。困った先生だ。
 しばらく横になっていると吐き気はおさまってきたが、 体のだるさは一向に直らない。 僕は体を無理やり動かして家中あさりだした。 病状が悪化したら大変だから、 必要な物だけは自分の部屋に置いとくことにしたのだ。
まず、体温計。あと水分補給に水の入ったペットボトルとコップ。読もうと思ってた本を五冊ほど。 薬は…解熱剤。
部屋に戻って熱を計ると38度3分・・・。上がってる。
昼飯はめんどくさかったから食わないことにした。
早速読書を始めようとしたが、少女のことが頭によぎる・・・。 そんな自分が軽くうざくも感じた。
しょうがなく寝ることにした。 それなら一時的でも忘れられるし、 休養もできる。 一石二鳥だ。
とは言ったものの熱があるのにちゃんと寝付けるわけがない。 軽くうなされながら窓の外を見た。 一羽の雀が木に止まって鳴いている。 その雀を見ているうちにまた彼女の歌がよみがえってくる・・・。 まるで今そこで聞いているのかのようだ。 やっぱり歌詞は分からないが、いい歌だ・・・。 聞いている・・・というか思い出しているうちに少しづつ眠たくなってきた。
 気がつくと夜中の三時だった。変な時間に起きちまった。
夢の中でもずっと彼女のことばかり考えていた気がする・・・。 彼女のことを考えるとなぜか不思議な気分になる。
熱を計ると36度5分。正常だ。
水をコップに注いで一口だけ飲んで小さなテーブルの上に置いた。 枕元に山積みになっている本の中から一冊の本を抜き取る。 あの時忘れてきた本だ。 本の背表紙を軽くなでてから、ページをパラパラと適当にめくっていく。
「はぁ・・・。もう一度だけ・・・。」もう一度だけ、彼女の歌を聴きたい。 次は絶対にもっとちゃんと聞いてやる。
しかし、なんとなくもう逢えない気がした。
いや、逢わない方がいい気がする・・・。
本を置き、部屋からでる。 リビングの電気をつけると、いつもと違う場所にいる感覚がした。別世界…。 静謐な空気が冷たいのに軽い。軽やかな気分にさせられる。 なんとなくカーテンを開けて外を見る。
そうだ、散歩でもしよう。 玄関まで行き、僕には少し大きめのコートを羽織って外に出た。 寒いが風は吹いていない。 空を見上げると星が綺麗に輝いている。 星を繋いで形を作る。…なんて洒落たことはしない。 なんでか?それは僕の想像力の低さからわかるだろう。 とにかく、星のおかげで明かりが無くても良く見える。 なんとなく気が向くほうに歩き出した。
ちゅん、ちゅん。 雀が鳴いている。 こんな夜におかしいとは思ったものの別に気にしなかった。
静かだ…。一歩進むたびに落ち葉がカサカサとやかましい音をだす。 ふと、気がつくと森に入る道の目の前まで来ていた。
今日も彼女は歌っていたのだろうか?
明日は、学校休むことになってるだろうし、明日もう一度行って見るか…。
同じ道を引き返した。家まではすぐだった。 部屋に入ると机に置いてあったコップの水を 全部飲み干してもう一度布団にはいった。 いい夢が見れそうな気がした。


「あ!寝坊だ!!…って、風邪で休むんだった…。」
時間は12時過ぎ、やけに寝たな。 寝すぎのせいか、体がだるい…。 っていっても、九時間程度。 風邪のせいってことは多分ないだろう。 体温計を脇に挟みながら水を二三杯がぶ飲みした。 水が腹にたまる変な感じがする。 やっぱり風邪のせいじゃない。体温は正常。
適当に着替える。適当といってもちゃんと暖かいかっこにはした。
家からあの場所までは大体一時間ってとこだ。
よし、行こう! ちょっと早いが早いことに越したことはない。善は急げというだろう?
ははっ、善じゃないってか?関係ない。
それに本もあるから時間はすぐにすぎるはず…。
さっそく準備を始めた。 たいがいの人はそうだろうけど、寝起きは食欲がおきない…。 だから携帯食品を適当に二三箱ぐらいバックにつめる。 読みかけの本と、こないだ買ったばかりの本、それと冷たいお茶の入れた水筒。 もちろん懐中電灯。今日は腕時計をしていく。 なにか、わすれてるような気がして家中さまよったが特に持っていくようなものはなかった。 そんなもんか…。
家を出ると走って道の入り口まで来た。 なぜか緊張する…。それになにかが行ってはいけないととめてるような気もする…。
でも、どうしても聞きたかった。彼女の歌を。

 僕は例の場所まにいた。相変わらず綺麗な場所だ。 柔らかな日差しがページをちょうどいいくらいの光度で照らす. ここだとやっぱり落ち着いて本が読める。 彼女のことなんてわすれてすっかり本の世界に入ってしまった。 本の方も冬。それで余計今の自分と重なり入り込んでしまったのだと思うが。
 ぴぴぴっ。腕時計が不意に鳴った。設定はしていなかったはずだが…。 辺りは暗くなりはじめていた。本を読むのには暗いが集中しすぎて気づかなかった。 僕は帰る振りをした。ずっとここにいたら来てくれないとおもったからだ。
本をバックにしまう時に忘れてた携帯食品に気がついた。そうえば今日一日なにも食べてない…。 もってきた分を全部食べて、乾いた喉をお茶でいやす。
とりあえず、途中まで実際に戻ろう。
 懐中電灯をつけ、座っていた。怖い…。 ある程度戻ったところに隠れるようにして座っているのだが、怖い…。 いつもはあるくから怖さを紛らわせていたようだが、今日はそうはいかない。 懐中電灯の光も届かない先の闇の中になにか得たいの知れない者が居そうだった。 夜行性の小動物のような生き物達の動く音が混ざりあい僕になにかを話しかける妖怪のようになったし、 木々の重なりがどこか人の形を思わせるような感覚がする。
カチッ、カチッ。時計の針が時を刻む。 恐怖におびえてるうちに九時を回っていた。
そろそろ行こう。 恐る恐る立ち上がる。硬直していた体が歩くうちにほぐされる。 恐怖もやわらいでいくようだ。 また、あの場所へと戻る。

 歌声が聞こえ始めるまでにあまり時間はかからなかった。 声が聞こえてからは、音をたてないように慎重にすすんでいった。 頭の中の記憶の声より何百倍も綺麗な歌声が心の中をみたしていく。
しばらく進むと彼女の姿が見えた。 やっぱりフシギな服装だ。服装だけじゃない…。 なにか不思議な感覚になる…。 茂みに隠れて彼女の歌が良く聞こえるところまでたどりつくことが出来た。 彼女は歌うのに夢中でまったく気づいていない。
「やっぱり、綺麗な声…。それになんかいい曲…。」小さくつぶやく。
たしかに日本語だった。けれどなんていってるのかわからない…。 声がこもってるわけでもない。はきはきと一音一音しっかりと発音できている。 なのになんていってるのかがわからない…。

なぜか胃がむかむかしてきた…。風邪がふっかつしやがったか? 軽く目頭も熱い…。頭痛もする。
彼女の歌はなおも続く。きっと一晩中歌っているのだろう…。 歌のテンションはピークに達したのかどんどんあがっていく。 それにつれて、気持ち悪さがましてきた。
「なんでこんなときに…。」
頭がわれるようにいたくなってくる。がどうにか耐える。 吐き気の方もなんとか我慢してるがつらい…。 歌のテンションはさらにあがる。楽しそうだ…。 頭痛はさらにます。どんどん目頭が熱くなってくる。 吐き気がまし、ついに戻してしまった…。
曲が終わった。
頭痛も吐き気もおさまっていった。 ただ、目頭だけは熱くてしょうがなくて目が開けられない。 いったいどうなってるんだ…。
…。そうえば、彼女が歌わない…。 僕は辺りを見回そうと目を開けようとした。が開かない。 これじゃ、帰れないじゃないか…。
額に手を触れる。
「あつい!」思わず叫んでしまった。 が彼女は居ないようで気づかれずにすんだ。
僕は水筒の中身のお茶を目頭にかけた。
「いってぇ!」目に水がしみた。
水がしみた?!目は開いてるんだ…。
僕は…見えなくなってる…。 絶望感が襲ってくる。もう、本は読めない…。
でも、なぜ…。
「それはね。」
「わぁ!」おどろいた。彼女は僕の目の前に居たのだった。 それに…心を読めるのか?
「私の歌を聴いたから…」
「え?」やっぱり、よくわからないことをいう…。
「聞いちゃダメって言ったのに…。」
「あ、ごめんなさい…。」
沈黙が流れる。驚きと不安が混じった不思議な感情だった。
「あの…、この目は…この眼は治るの?」
「…」
「ねぇ?」
「むり…、でもたまに例外は、いる…」
「君は人間じゃないよね…?」なぜか急に思った。 …いや、はじめ見たときからうすうす感づいていたのかもしれない。
「ええ。夜雀…。妖怪よ…。」
「よすずめ?」
「うん、人間は夜の雀って書いて夜雀ってよんでる…。」
「鳥、なの?」
「うん…一応」
「たべる気?」冗談のつもりで聞いた。
普通なら、こんな状況パニックになってしまうだろうが、 なぜかこうなることがわかってたような、 もうどうなってもいいと言うような変な気分になっていた。
「たしかに、最近人間食べてないわ…。でもあなたは食べない。」
「どうして?別に食べてもいいよ。」軽く笑いながらいう。もち冗談。そんなにMじゃあないさ。
「へんな人間!いままであった人間はみんな怖がって見えない目で逃げてくのに、なんであなたは…。」
「わからないけど、逃げなくてもいい気がするから…。」
鼻をすするような音がした。泣いているのか…?
また、沈黙…。なにかいいづらい感じになってしまった…。
ゆっくりと過ぎる時間…。
心は落ち着いていたが、頭ではパニック状態だった。 いろんな思考の糸が絡みあってごちゃごちゃになる。 そんななか、一つの考え、というか想いが出てきた。
「あのさ…、一つ頼みたいことがあるんだけど…いいかな…。」僕はなんとか切り出した。
「…なに?」結構な間の後に答えた。
「もう一回歌ってくれない?こんどはもっと近くで聞かせて。」
「…やっぱりへんな人間…ふふっ」
笑ってくれた。彼女の歌を聴いてるときは確かに幸せだった。 でも、この一瞬の幸せの方が大きい気がした。
熱くなり、見えなくなった目の上に彼女が手を当ててくれた。 彼女の手は冷たく熱い目頭の熱を冷ましてくれてる。すごく気持ちがよかった。
「こっちに来て」
「うん。」
ある程度熱が無くなったところで、彼女は僕の手を握って歩き出した。
なにも見えない僕に合わせてゆっくり歩いてくれた。 なにもつまずくようなものは無いはずなのに、なにかありそうで少しづつ地面を確かめながらすすむ。 かなりの時間をかけたがきっとまだ二三メートルしかすすんでないだろう…彼女が止まった。
「ここですわって」
彼女は大木のところまでつれてきてくれたのだ。 僕はその大木に手をつきながらゆっくりと座った。 すると彼女は寄り添うようにして僕の隣に座った。 手の温度と違い、暖かい。そうえば鳥は体温が高いんだった。
「はぁ、ふぅ…。」彼女が大きく深呼吸をする。
「じゃあ、歌うね?」
「うん」僕はあらゆる考えごとを頭から追い出し、思考を停止させた。 純粋に歌を聴くために。
「どんなのがいい?」
どんなのがいい?といわれても…。ここはベタだけど。
「お勧めで」
「じゃあ、この曲から…。…もう歌しか聞こえない。」







ええと、ほぼ初めて書きおえた、小説というかSSというか…。
いろいろと変な表現や、伝わりづらい場所や急ぎすぎてる場所等あり、とてもおかしな文になった ところもあるけど、 その辺はご了承くださいな。 とりあえず、これからいろいろなの書いていくつもりなのですこしは書く力は上がると思うから、 そうなったらまた同じようなの書くつもり。 まだまだ未熟な僕にはこのぐらいが限度www。 ちなみにメモ帳にドラッグしてから見ると所所にちょっとしたメモが… くだらないのしかないけど。 これからもいろいろ書きたいので素直な感想お願いします。

出来れば感想送って!
いいところはうれしいけど、ダメなところを言ってくれた方がいいので、素直に率直な意見を、 傷つくような性格じゃないからズバズバって感じでどうぞ。

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